哲学をビジネスの武器にする名著 「使える弁証法」

田坂広志さん執筆の、かなりユニークなビジネス書です。
哲学的思考をビジネスの現場、それもITビジネスの最前線で役に立つと言うのですから、驚きです。

 

最低憶えておくべき法則はたった1つ。

 

「物事は、螺旋的に発展する」

 

これだけ、知っておけば十分だと言うのです。

 

世の中の多くの現象は、一定期間経つと、必ず甦ってくる。
ただ、単に復活するだけではなく、必ず一段進歩している点がミソなんです。
昔の「手紙」がメールとなって復活し、「市場」はオークションとして、
寺子屋」はEラーニングとして、現代に甦っている訳です。

 

そして、
①合理化、効率化の流れの中で「消えていったもの」を思い浮かべ、
②それが「消えていった理由」を考える。
③新しい技術や方法で、「消えていったもの」を復活できないか考える。

 

こうやると、これから世の中で何が流行るか、予測できる訳です。

 

言わば、予測の達人である、田坂さんのネタばらしのような本ですが、
達人の技を学べるだけに、これからを生きるビジネスマンにとっても役に立つ本です。

 

その他、ポイントを以下にご紹介しますので、チェックしてみてください。

弁証法4つの法則
1,「事物の螺旋的発展」の法則
2,「否定の否定による発展」の法則
3,「量から質への転化による発展」の法則
4,「対立物の相互浸透による発展」の法則

 

 そして、特別編とも言える法則が、

 

 「矛盾の止揚による発展」の法則 です。

 

 止揚は「しよう」と読みます。

 

 平たく言うと、物事は、矛盾の止揚によって発展する。
 つまり、物事はその内部に矛盾を含んでいて、その矛盾こそが発展の原動力である。
 そして、矛盾を機械的に解消するのではなく、それを弁証法的に高めた時に、
 物事は発展すると言う意味です。

 

 要は、矛盾とは物事が発展する原動力なんですね。
 ですから、矛盾を嫌い、何でも「割り切ってしまう」合理主義者は、
 別に優れているのではなく、単に弱い人間に過ぎず、
 矛盾を抱えつつも、自己の中で消化し、その矛盾の中身を高めていく人間こそ、
 「腹のすわった器の大きな人間」で、真のリーダーなんだそうです。
 今の時代に非常に意味のある話だと思いませんか?

 

 

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↑とってもデザインが良くて紙の風合いが上品な本です。