初めての人にもお薦め!「ドラッカーの遺言」【日本の進むべき道編】

ドラッカーの遺言」と言う結構刺激的なタイトルの本ですが、ほぼそのタイトル通り、恐らくドラッカー最後の本です。
講談社さんの編集部が、昨年ドラッカーに取材を行い、それをまとめているうちに、ドラッカーが亡くなった、と言う経緯で、最後の本となったようです。

 

ドラッカーは「知の巨人」と言われるだけあって、この1冊を選ぶことが難しいくらい、様々な切り口がある人ですが、本書は、日本のジャーナリストが取材しただけあって、かなりの部分、日本人向けに書かれており、しかも、「これからの変化にどう対応すれば良いのか?」と言う非常に知りたいことが書かれているので、ドラッカー初心者が読んでも十分興味深い内容になっていると思います。

 

ドラッカーがもう多くを語れない状態であったためか非常に薄い本ですから、1時間もあれば十分読めてしまいますし、訳も、ダイヤモンド社の一連のものよりずっと平易に書かれていますので、すごく読みやすくてお薦めです。

以下に私がメモした箇所をランダムにご紹介します。

 

☆初めての人にもお薦め!「ドラッカーの遺言」
1,真にグローバル化を為し得たものは、ただ一つ、「情報」のみである。
2,グローバリゼーションについて語る時、人は情報について語っている--その事を理解する必要がある。
3,個人的には、中国を中心に据えたアジアの再編は間違いであると考えている。
4,中国は生産者としても、消費者としても、やがてアメリカを凌駕する存在になるのは間違いない。
5,超大国が持つ「権力」ではなく、グローバル化した「情報」によって世界が強固に結びつく時代が来る。
6,新しい秩序へと向かう、混迷した世界の中で、重要な役割を担うのは、イギリスと日本である。
7,日本をかつてない大成功に導いた過去の手法が通用しなくなり、足かせになる時代が来ている。
8,日本が直面しているのは危機ではなく、時代の変わり目=移行期なのである。
9,日本の最大の課題は、時代が変わったことを認め、その変化に対応するための意識改革に取り組むこと。
10,日本を成功に導いた保護主義固執していると、情報革命に勝てない。
11,国際競争において意味を持つのは「知識労働における生産性」のみ。その重要性は高まるばかりである。
12,新しい時代の製造業は労働集約型ではなく、頭脳集約型になる。
13,事業計画を立案し、設計やデザインを考え、マーケティングや研究開発に知恵を絞り、コアでないものをアウトソーシングする、そういう「戦略」を管理する経営構造を早く確立すべきである。
14,この課題を乗り越えれば20年後も日本は世界の製造業のメインパワーであり続けるだろう。その時、国内に残るのは、計画、設計、マーケティング等の知識労働だけである。
15,新時代の国際企業は、「全てを自ら保有する形」から、「事業提携や合弁を基盤とした戦略型」にシフトする。欧米型から日本の得意とする経営手法に近いものになる。
16,知識社会においては、知識を生産的にすることが競争を可能にするただ1つの方策である。
17,年功序列はもはや障害に過ぎないが、終身雇用は残すべき。但し、人材の流動性の確保は必要。
18,日本の改革は50%程完了した。残り半分は2008~10年までにやり遂げられるはずである。
19,日本の問題点は、情報技術、情報経済の分野で立ち後れてしまってところにある。
20,高コストの国である日本は、常にイノベートし、新しい価値を生み出すことでしか生き残れない。
21,中国は日本に最も脅威をもたらす国だが、その中国市場で最も成功する可能性があるのも日本である。
22,日本人の多くは、「問題重視型」の思考様式に囚われていて、「機会重視型」の発想を持っていない、ことを危惧している。

 

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名著です。